三百有余年の歴史

上田紬の名が広く知られるようになり、
結城・大島と並ぶ「三大紬」と称されるようになったのは江戸時代のことでした。
上田で蚕種(蚕の卵)の製造が始まり、その副産物である出殻繭が良質な紬糸の原料であったため、紬織りが盛んになったのです。
井原西鶴の『日本永代蔵』に上田紬に関する記述が見られること、喜多川歌麿の美人画に上田縞の反物が描かれていることからも、庶民にとって最高級の織物として人気を誇り、粋でおしゃれな織物とされていたことがうかがえます。

生糸×紬糸で独自の魅力

生糸を経糸(たていと)に、真綿からつむいだ紬糸を緯糸(よこいと)に織る上田紬。
さらりとした心地よい感触と、軽さ、丈夫さ、吸放湿性の高さという絹の特性に加え、落ち着きある光沢と独特の風合いが紬の持ち味です。
上田紬は、昭和50年に信州紬として国の伝統的工芸品に指定されました。

粋で自由な上田紬

色や柄、染めの厳格な規制がなく、生産者の数だけ個性があるという自由な気風が上田紬の特長であり、他の染織産地との大きな違いのひとつです。
また、糸の染色から生地の設計(デザイン)、織りまで、ほぼ全ての工程を工房の職人が手がけており分業体制をとっていないこと、産地問屋がないことも、各社・各職人の個性を際立たせている要因でしょう。

上田紬「藤本」

1661年(寛文元年)に長野県で初めて蚕種の製造販売を行った藤本善右衛門の時代から、絹に携わり続けて350年以上。織りを手がけてから70年以上が経ちました。
長い歴史と伝統を礎に上田紬があり藤本があるのは確かですが、伝統は日々の革新を積み重ねてこそ保持できるもの。時代のニーズに添った、現代に活きるものづくり こそが藤本の本領であると考え、常に創意工夫を怠らず、自由で粋な上田紬の魅力をお届けいたします。

機織り体験をお楽しみいただけます

藤本つむぎ工房では、機織りの体験スペースをご用意しております。
ご自分でお好きな色の横糸の色をお選びいただき、世界にひとつのオリジナル作品づくりを!
お一人でも、初心者でも、お気軽にご参加ください。

◎90分/2,500円(織糸代・指導料込)
◎時間内に27×17センチの作品が完成予定。テーブルセンターや花瓶敷きに最適です。
◎要予約